- SBIから発表された『ゼロカン』はこどもNISA専用で信託報酬0%!
- eMAXIS Slim オルカンとの手数料の差額をシミュレーション
- 長期運用であれば数十万円~数百万円の差になる可能性も
- 今すぐ選ぶのであれば『ゼロカン』!楽天証券など他社の動向を様子見もあり
2026年9月、SBIアセットマネジメントからこどもNISA専用ファンド『SBI・ゼロ・オールカントリー・インデックス・ファンド(愛称:ゼロカン)』の登場が発表されました。
この『ゼロカン』はこどもNISA専用とはいえ、信託報酬はなんと「年率0.00%」に設定されています。
同時に、すべての口座を対象とした「SBIオールカントリー」(信託報酬0.055%)も発表されました。
『ゼロカン』ほどのインパクトはありませんが、『eMAXIS Slimシリーズ』のオルカンを下回る信託報酬となっていて、低コストファンドの選択肢が広がることになります。
本記事では、ゼロカンとeMAXIS Slim オルカンを比較しながら、「ゼロカンを買うべきか」について解説します。
『SBI・ゼロ・オールカントリー・インデックス・ファンド(愛称:ゼロカン)』に関する情報は、SBI証券およびSBIアセットマネジメントの下記ページを参考に執筆しています。
・SBIアセットから待望の超低コストオールカントリーファンドが登場!
・『SBI・ゼロ・オールカントリー・インデックス・ファンド(愛称:ゼロカン)』設定のお知らせ
こどもNISAとは?制度の基本をおさらい
ゼロカンの話題に入る前に、まずはその舞台となる「こどもNISA制度」の基本スペックを確認しておきましょう。
対象年齢: 0歳〜17歳
利用できる枠: つみたて投資枠のみ(成長投資枠はなし)
年間投資枠: 最大60万円まで
非課税保有限度額: 買付額ベースで総額600万円まで
引き出しの制限:条件付きで12歳以降は引き出し可能
つみたて投資枠を最大600万円まで利用することができ、年間の上限は60万円です。
月5万円を10年間つみたて出来れば最短で埋めることができますが、現実的には毎月1万円~3万円をコツコツつみたてすることになりそうです。
18歳になると、こどもNISAから通常のNISAに移管され、非課税の保有は継続されます。
仮に上限の600万円までつみたてしていれば、(含み益の額には関係なく)こども本人のNISA枠は、生涯投資枠1,800万円のうち600万円が埋まった状態になります。
ただし12歳まで原則引き出しができないため、生活資金など不足しないように注意が必要です。

手数料0.00%!ゼロカン(SBI・ゼロ・オールカントリー)とは
では、今回話題の中心となっているこどもNISA専用ファンド『SBI・ゼロ・オールカントリー・インデックス・ファンド(愛称:ゼロカン)』とは、いったいどのようなファンドなのでしょうか。
最大の特徴は、何といっても信託報酬(運用管理費用)が「年率0.00%」に設定されている点です。
インデックスファンドのコスト競争が激化する中でも、「信託報酬ゼロ」はこれまでの常識を覆す異例のスペックと言えます。
例えば信託報酬が1%のファンドであれば、100万円保有していると年間1万円の信託報酬がかかります。
期間限定で手数料が無料となるファンドはこれまでもありましたが、「ずっと0.00%」というのは前例がないようです。
ただ、ゼロカンには以下のような制限があります。
- 対象口座の限定: 購入できるのは「こどもNISA口座」のみ(成人NISAや課税口座では購入不可)
- 18歳以降の扱い: 子どもが18歳を迎え、資産が通常のNISA口座へ移管された後も、それまでに保有していた分のゼロカンは信託報酬0.00%のまま継続して保有できる
※以降はこどもNISAではなくなるため、追加購入はできません
こどもNISAの期間に購入した『最大600万円の元本+含み益』に対して、信託報酬はずっと0%ということになります。
ゼロカン公式ページには以下の注意書きがあり、厳密には『完全に無料』というわけではありませんが、それでも破格の手数料水準といえます。
✅SBI証券公式サイトより引用
運用管理費用(信託報酬)は年率0.00%です。ただし、監査費用、有価証券等の売買委託手数料、外国での保管費用、税金等のその他費用・手数料が発生する場合があります。
ゼロカンと他のオルカンとの比較
ここでは「ゼロカン」のスペックを、1番人気の「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」や、同時発表された全口座向けの「SBIオールカントリー」と比べてみます。
それぞれの運用会社や信託報酬を一覧で比較してみましょう。
| 項目 | ゼロカン | SBIオールカントリー | eMAXIS Slim 全世界株式 (オール・カントリー) |
| 運用会社 | SBIアセットマネジメント | SBIアセットマネジメント | 三菱UFJアセットマネジメント |
| 対象口座 | こどもNISAのみ | すべての口座 | すべての口座 |
| 信託報酬 (税込) | 年率 0.00% | 年率 0.055% | 年率 0.05775% |
あらためて整理すると、SBIアセットマネジメントの戦略は以下の2点に集約されます。
①通常・全口座向け: 1番人気の「eMAXIS Slim」をわずかに下回る「0.055%」でSBIオルカンを投入しシェアを奪いに行く。
②こどもNISA専用:こどもNISA限定で、破格の信託報酬「0.00%」を新発売し次世代の囲い込みへ。
✅オルカンの国別割合や構成比率の詳細については、こちらの記事で詳しく解説しています。

【手数料試算】オルカンとゼロカンのコストの差額はいくら?
信託報酬の差は『0.05775%』ですが、長期でどの程度の差額になるのでしょうか。
ここではeMAXIS Slimのオルカンとゼロカンで、実際の手数料の差額がいくらになるのかシミュレーションしてみます。
◆試算の前提
①年間リターンは4%を想定し、オルカンは4%から信託報酬分を減額します
②実際の信託報酬は日々の基準価額から差し引かれますが、簡易的に年間の保有額から『0.05775%』を減額します
✅こどもNISAの限度額である600万円を、最短の「年60万円×10年」で埋めて複利運用した場合
| 対象年齢 / 時点 | ゼロカン | オルカン | 手数料による差額 |
| 18歳時点 | 約 9,858,712円 | 約 9,788,757円 | 約 69,955円 |
| 25歳時点 | 約 12,973,392円 | 約 12,831,350円 | 約 142,042円 |
| 30歳時点 | 約 15,784,116円 | 約 15,568,003円 | 約 216,112円 |
| 35歳時点 | 約 19,203,790円 | 約 18,888,327円 | 約 315,463円 |
| 40歳時点 | 約 23,364,347円 | 約 22,916,804円 | 約 447,543円 |
| 45歳時点 | 約 28,426,300円 | 約 27,804,470円 | 約 621,830円 |
| 50歳時点 | 約 34,584,941円 | 約 33,734,571円 | 約 850,370円 |
| 55歳時点 | 約 42,077,869円 | 約 40,929,436円 | 約 1,148,433円 |
| 65歳時点 | 約 62,285,524円 | 約 60,249,978円 | 約 2,035,546円 |
元本600万円で65歳まで運用すると、どちらの評価額も6,000万円を超える試算です。手数料の差以前に、複利の力に驚かされますね。
このシミュレーションでは、18歳で引き出して大学進学の費用に充てるなどする場合の差額は約7万円、住宅購入資金など30歳で引き出す場合の差額は約20万円です。
評価額が大きくなると手数料による金額差も大きくなるため、65歳時点では『年間0.05775%』の差が、200万円もの差になります。
とはいえ、こどもNISAの上限600万円を最短で埋めるのはかなりハードルが高く、次は現実的なケースで試算します。
✅「毎月1万円×15年間」つみたてした元本180万円を複利運用した場合
| 対象年齢 / 時点 | ゼロカン | オルカン | 手数料による差額 |
| 18歳時点 | 約 2,702,858円 | 約 2,686,807円 | 約 16,050円 |
| 25歳時点 | 約 3,556,776円 | 約 3,521,935円 | 約 34,841円 |
| 30歳時点 | 約 4,327,362円 | 約 4,273,089円 | 約 54,273円 |
| 35歳時点 | 約 5,264,898円 | 約 5,184,447円 | 約 80,450円 |
| 40歳時点 | 約 6,405,553円 | 約 6,290,179円 | 約 115,373円 |
| 45歳時点 | 約 7,793,335円 | 約 7,631,741円 | 約 161,594円 |
| 50歳時点 | 約 9,481,783円 | 約 9,259,428円 | 約 222,355円 |
| 55歳時点 | 約 11,536,039円 | 約 11,234,267円 | 約 301,772円 |
| 65歳時点 | 約 17,076,156円 | 約 16,537,348円 | 約 538,807円 |
毎月1万円を15年間つみたてした場合、18歳時点では約1.6万円、30歳時点でも約5.5万円の差額です。
先ほどの試算と比べると信託報酬の影響はかなり小さくなります。
①元本がいくらか、②リターンが何%か、③何歳まで運用するか、この3点で差額は大きく変わってきますが、数十万円の差額になる可能性があるという点は押さえておきたいですね。
現時点では、『年間0.05775%』は無視できない差であるという印象です。
eMAXIS Slimのオルカンは、純資産総額に応じて信託報酬がわずかに下がる設定になっています。今後の信託報酬引き下げの可能性もあることに加えて、ゼロカンにも多少の手数料はかかってくるため、実際の差額はこれよりは小さくなると考えられます。
なぜゼロカンは手数料0%?SBIの狙いは
投資信託の信託報酬は、販売や運用をする会社の収入源です。
この信託報酬が0%となると、証券会社や運用会社はボランティアになってしまいますが、なぜ実現したのでしょうか。
一番のポイントは、「こどもNISAは、通常のNISA口座と違って途中で証券会社を変更できない」という仕組みです。
最初にどの証券会社で作るかが決まると、18歳になるまでずっとそのまま固定されます。そのため、SBIグループが「ゼロカン」を赤字覚悟で提供し、最初の口座を選んでもらうことができれば、次のようなメリットあると想像されます。
- 新規口座を開設してもらい、10年以上の長期間利用してもらえる
- 1社しか選べないNISA口座をSBI証券にしてもらえる
- 成人したあとも、そのままSBI証券をメイン口座として使い続けてもらえる可能性が高い
- 将来的に他のサービスを利用してもらうきっかけになる
運用管理費用としての目先の利益は出ませんが、SBIグループの未来の顧客基盤を大きく広げるための「先行投資」としての意味合いが強いのだと考えられます。
【結論】こどもNISAはゼロカンを選ぶべきか?
筆者は普段からSBI証券も使っていますが、メインの口座は楽天証券です。
さらに、多少の手数料の差であれば、運用実績が豊富な「eMAXIS Slim 全世界株式(オルカン)」が無難だと考えています。
それでも、もし今こどもNISAを利用するのであればSBI証券で「ゼロカン」を選びます。
たとえ「年間0.05%程度」のわずかな差であっても、長い運用期間を考えると、確実に手元に残るお金が変わってくるからです。
注意しておきたいポイント
今後の動向として、押さえておきたい点があります。
まずは、SBI証券が「ゼロカン」を打ち出したことで、ライバルである楽天証券などが同様の手数料無料化の投資信託で追従してくる可能性です。
後発でさらなるインパクトを与えるために、オルカンだけでなく『楽天プラス・S&P500ゼロインデックス』など発表されたら面白いですね。
また、本家「eMAXIS Slim」シリーズも、これまで業界最低水準を目指して信託報酬を引き下げてきた実績があるため、さらにコストを縮めてくる(0.00%にはならなくても差が縮まる)可能性は十分に考えられます。
これらの可能性を踏まえて、こどもNISAの申込はもう少し様子見しても良いかもしれません。特にお子さんがまだ小さく、運用期間が長期に渡る場合です。
両親のNISA口座もまだ埋まっていない状況ですので、2027年1月のつみたて開始に拘る必要もないと考えています。
まとめ|今すぐ選ぶならゼロカン!様子見もおすすめ
今回は、SBI証券から新たに登場したこどもNISA専用ファンド『SBI・ゼロ・オールカントリー・インデックス・ファンド(愛称:ゼロカン)』の特徴を解説しました。
ポイントをまとめると以下の通りです。
- ゼロカンは信託報酬「年率0.00%」という前例のないスペック
- 証券会社の変更ができないこどもNISAにおいて、SBIの顧客囲い込みの戦略か
- 毎月1万円×15年のような現実的な積立額でも、長期で運用すれば数十万円のコスト差が生まれる
- 楽天証券などの他社の様子を見つつ、あわてず検討する姿勢でもOK
キャンペーンなどに釣られて投資方針を決めるのは本来おすすめしませんが、ことゼロカンに関しては有力な選択肢になり得るほど、手数料ゼロのメリットは大きいです。
もし今すぐにこどもNISAの申し込みをするという前提であれば、筆者はSBI証券でゼロカンを選択します。
それでも、長期間変更できないからこそ慎重な検討が必要です。後発で楽天証券などの他社が、追従して新たな投資信託を発表する可能性も十分にあります。
これらも踏まえて、まずは両親のNISA口座を埋めながら、各社の方針が出そろうまで様子を見るのも良いかもしれません。

【重要事項】 当記事は、各投資信託に関する情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品の勧誘を目的としたものではありません。投資には元本割れのリスクや、市場の変動、為替レートの変動等により損失が生じる可能性があります。また、過去の運用成績は将来の運用成績を保証するものではありません。最終的な投資判断はご自身の責任において、十分な情報に基づいて行ってください。
