毎月分配型投資信託|長期投資に向かない理由とNISA対象外の背景

資産運用・投資
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✅この記事の結論
  • 毎月分配型は「現金収入が毎月得られる」が、複利効果や成長を阻害しやすい
  • 分配金の一部が元本の取り崩しとして支払われているケースがある
  • 繰り返し現金化することで税負担が増える可能性がある
  • 長期の資産形成が目的であれば、毎月分配型は相性が良くない
  • 毎月分配型の投資信託はNISA口座の投資対象外

毎月分配型の投資信託は、分配金を毎月受け取れる仕組みの投資商品です。定期的な現金収入があることから、特に高齢者層や安定収入を求める層に人気です。
一方で、長期の資産形成という観点では注意が必要な商品でもあります。

一見すると魅力的に見えるこの商品ですが、実際には「元本の一部を取り崩して分配している」「複利効果を得られにくい」「税金面で非効率」といったデメリットがあるからです。

また、販売手数料や信託報酬が高めに設定されているケースも多く、長期的な資産形成には向かない商品といえます。

この記事では、毎月分配型投資信託の仕組みを整理しながら、なぜ長期投資に向かないと言われるのかを、FP資格を持つ筆者がわかりやすく整理しています。

「毎月もらえる」ことの裏側にある仕組みを理解し、自分に合った投資を考えるための参考にしてください。

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毎月分配型投資信託とは?

毎月分配型投資信託とは、一定のルールに基づき、毎月分配金を支払う仕組みを持つ投資信託です。

ただし、分配金は必ずしも運用益だけから支払われるわけではなく、市況や運用状況によっては元本を取り崩して分配される場合もあります。

分配金を自動的に再投資するか(再投資型)、現金で受け取るか(受取型)は選択することができますが、再投資型であっても利益部分には課税されます。

毎月分配型投資信託が長期投資に向かない理由

ここからは毎月分配型投資信託が長期投資に向かない理由を解説します。

複利効果を得にくい

インデックス投資は、利益を再投資することで資産が雪だるま式に増える「複利効果」が重要です。

しかし毎月分配型では、運用で得た利益が毎月現金として払い出されるため、資産を増やすための再投資に回りにくくなります。
その結果、同じ運用成績でも、資産の増え方に差が出やすいという特徴があります。

税金面で非効率になりやすい

毎月分配型では分配のたびに、利益から税金(約20%)が差し引かれるため運用効率が悪化します。
再投資型を選択している場合も、再投資されるのは税引き後の金額です。

税金により、複利効果はさらに効きにくくなっています。

元本を取り崩して分配している場合がある

分配金=利益と思いがちですが、実際には運用益が足りない場合、元本を削ってでも分配金を出すケースが少なくありません。

たとえば、月1万円の分配金を受け取っていても、そのうち7,000円が元本の取り崩しだった場合、それは「自分のお金を一部返してもらっている」に過ぎず、さらには「そもそも収益がなく、分配金の全てが元本の払い戻し」という月も少なくありません。

にもかかわらず、「元本はそのままで、収益を分配金として受け取っている」と認識していれば大きな間違いです。

このように元本を取り崩して支払われる分配金は「元本払戻金(特別分配金)」といいます。利益ではないためこの部分は非課税ですが、文字通り元本は払い戻されて目減りしています。

含み益がある場合は「普通分配金」として収益から分配金が払い出され、課税された後に受け取ります。これが本来あるべき分配金です。

手数料が高い

毎月分配型の商品は、対面型の証券会社や銀行窓口で販売されることが多く、販売手数料が割高に設定されていることがほとんどです。

もし販売手数料が割安のネット証券で購入したとしても、投資信託ごとに設定されている信託報酬は、再投資型のインデックスファンドと比べて割高です。

一例として、毎月分配型投資信託の人気№1と、再投資型インデックスファンドの人気№1、2つの投資信託を手数料の面で比べてみましょう。

① インベスコ世界厳選株式オープン<為替ヘッジなし> (毎月分配型)
② eMAXIS Slim米国株式(S&P500) (再投資型)

項目①インベスコ 世界厳選株式オープン(毎月分配型)②eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)(再投資型)
購入時手数料最大3.30%(税込)0%(ノーロード)
信託報酬年率1.903%(税込)年率0.0814%(税込)
信託財産留保額(解約時)0.3%なし(0%)

前述の通り購入時手数料は、毎月分配型でもネット証券であれば0%の場合もあります。

信託報酬とは、保有額に対して1年間でかかる手数料です。1,000万円分保有しているとすると、①は毎年190,300円かかるのに対して、②は8,140円とその差は約23倍です。

この信託報酬の差を覆す運用成績であれば問題ありませんが、現状ではeMAXIS Slim 米国株式(S&P500)が運用成績でも上回っています。

NISA制度と毎月分配型投資信託

毎月分配型投資信託は、長期の資産形成に向かない商品とされていることから、現在のNISA制度では投資対象外となっています。

分配金として資産を定期的に現金化する仕組みは、複利効果を得にくく、手数料や税金の面でも非効率になりやすいため、現役世代(資産形成層)には不向きなためです。

それでも、2026年のNISA制度改正に向けた検討の中では、毎月分配型投資信託を対象に含める案も議論されました。
年金代わりの収入を求める高齢者層(資産取り崩し層)にとっては一定のメリットがあるからです。

しかし最終的には、信託報酬などのコストが高い商品が多いことがネックになり、NISAの投資対象には含めない判断がされています。

まとめ|「毎月分配型」の本質

今回は「毎月分配型」投資信託のデメリットを解説しました。

毎月の安定した収入、しかも不労所得となるとたしかに魅力的です。
しかしこうした商品を十分に理解しないまま、証券会社の窓口で進められたからと購入している人が少なくないことは大きな懸念です。

リタイア後であれば、年金のように毎月分配金を貰えることは有意義なので、ここまで解説したような仕組みを正しく理解した上で購入していれば、全く問題はありません。

しかし仮にそうであれば、分配金というかたちでお金を受け取るよりも低コストのインデックスファンドを保有し、必要な金額だけ自分で取り崩すことが、税制面でも資産効率の面でも合理的だと気付くはずです。

本当に得したいなら、“仕組みを知ること”が最初の一歩です。

【重要事項】 当記事は、各投資信託に関する情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品の勧誘を目的としたものではありません。投資には元本割れのリスクや、市場の変動、為替レートの変動等により損失が生じる可能性があります。また、過去の運用成績は将来の運用成績を保証するものではありません。最終的な投資判断はご自身の責任において、十分な情報に基づいて行ってください。

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