米国株が好調な中、ハイテク株に続いて注目が高まっているのがSOX指数(フィラデルフィア半導体株指数)です。
AIや自動運転などの最先端分野を支える「半導体セクター」に特化した指数で、エヌビディアやAMDなど成長性の高い企業が多数含まれています。
この記事では、
- SOX指数の基本情報
- 主な構成銘柄とその比率
- FANG+やS&P500、オルカンとの違いや騰落率比較
といった点を、証券外務員資格を持つ筆者が解説します。
SOX指数とは?|米国半導体セクターに特化した株価指数
SOX指数(フィラデルフィア半導体株指数)とは、米国の証券取引所「NASDAQ」に上場する半導体関連企業30社で構成される株価指数です。
正式名称はPhiladelphia Semiconductor Index(通称:SOX)で、1993年にフィラデルフィア証券取引所によって開発されました。
【通称について】
S&P500はSPX、ナスダック100はNDX、フィラデルフィア半導体株指数はSOXです。通称は厳密に頭文字を取るわけではなく、語感や覚えやすさで広まっています。
主に、以下のような企業が含まれています:
- 半導体の設計・製造を手がける大手企業(例:エヌビディア、ブロードコム、AMDなど)
- 半導体製造装置や材料を提供する企業(例:アプライド・マテリアルズ、ラムリサーチなど)
これらの企業はAI(人工知能)・自動運転・クラウドデータセンターなどの成長分野に深く関わっており、今後の需要拡大が期待されています。
SOX指数はこれらの企業の株価を時価総額加重平均で算出しており、半導体業界全体の動向を反映する代表的な指数です。
SOX指数の特徴・投資先を人気投資信託と比較
まずは、SOX指数を代表的なインデックスファンドと比較してみましょう。
投資先の地域や銘柄数、指数の算出方法(時価総額加重平均型か均等加重型か)など、投資の基本となるポイントを整理しています。
以下の比較表をご覧ください。
項目 | オルカン | S&P500 | FANG+ | SOX |
---|---|---|---|---|
投資地域 | 全世界 | アメリカ | アメリカ | アメリカ |
構成銘柄数 | 約3,000社 | 500社 | 10社 | 30社 |
業種の分散 | 広い | 広い | テクノロジー中心 | 半導体セクター |
投資手法 | 時価総額加重平均 | 時価総額加重平均 | 均等加重 | 時価総額加重平均 |
銘柄の入れ替え | 年1回程度 | 年4回 | 必要に応じて | 年1回程度 |
代表的な投資信託 | eMAXIS Slim オール・カントリー | eMAXIS Slim 米国株式 | iFreeNEXT FANG+ | 楽天・プラス・SOX、ニッセイSOXインデックス |
投資先
・S&P500やオルカンは大型株を広くカバーする一方で、SOX指数は米国の半導体セクターに特化。FANG+はハイテク成長株に集中投資。
銘柄数
・銘柄数はS&P500が500社、オルカンは約3,000社と分散投資。SOXは30社、FANG+は10社に限定されている。
加重方式
・SOX指数、S&P500、オルカンはいずれも時価総額加重平均型を採用。FANG+だけは均等加重型で、各銘柄ほぼ同じ比率で投資する。
その他の特徴
・SOX指数は半導体業界に特化しているため、業界景気や技術革新の影響を強く受ける。S&P500は米国経済全体を反映し、オルカンは世界経済の広範囲な成長を取り込む。FANG+は少数の成長株に集中投資するため、値動きが大きい。
SOX指数の主な構成銘柄|ティッカーと比率
SOX指数は、米国を代表する半導体関連企業約30社で構成されています。
ここでは特に影響力の大きい主要10社のティッカーと構成比率をご紹介します。
No. | 銘柄名 | ティッカー | 構成比 |
---|---|---|---|
1 | エヌビディア | NVDA | 12.30% |
2 | ブロードコム | AVGO | 11.10% |
3 | 台湾セミコンダクター製造(TSMC) | TSM | 8.00% |
4 | iシェアーズ半導体ETF | SOXX | 4.50% |
5 | アドバンスト マイクロ デバイシズ | AMD | 4.20% |
6 | KLACコーポレーション | KLAC | 4.00% |
7 | ラム リサーチ | LRCX | 4.00% |
8 | ASMLホールディング | ASML | 3.90% |
9 | マイクロン テクノロジー | MU | 3.80% |
10 | アプライド マテリアルズ | AMAT | 3.70% |
✅引用元:楽天・プラス・SOXインデックス・ファンド月次レポート(2025年5月)
半導体関連の大手企業が中心で、エヌビディア、ブロードコム、TSMCなど業界の主要プレーヤー投資しています。比率は時価総額加重平均方式によるもので、エヌビディアやブロードコムが特に大きな割合を占めています。
また、半導体関連企業に広く分散投資するETF「iシェアーズ半導体ETF(SOXX)」が含まれており、SOX指数の投資先は、厳密には29社+ETF1本となります。
SOX指数の実績は?|オルカン・S&P500・FANG+と比較
次に、SOX指数の直近の実績を、人気の高い指数であるFANG+、S&P500、そして全世界株式のオルカン(オール・カントリー)と比較します。
半導体セクターに特化したSOX指数がどのようなパフォーマンスを示しているのかを見ていきましょう。為替の変動も含まれています。
投資信託名 | 3ヶ月 | 6ヶ月 | 1年 | 3年(年率) | 5年(年率) |
---|---|---|---|---|---|
eMAXIS Slim 全世界株式(オルカン) | +7.51% | -0.01% | +4.00% | +19.19% | +20.80% |
eMAXIS Slim 米国株式(S&P500) | +7.42% | -4.84% | +2.32% | +21.13% | +23.65% |
iFreeNEXT FANG+インデックス | +24.51% | +1.10% | +17.28% | +45.74% | +37.00% |
楽天・プラス・SOXインデックス・ファンド | +25.13% | -0.01% | -7.45% | ― | ― |
ニッセイSOX指数インデックスファンド | +25.26% | -0.79% | -7.73% | ― | ― |
※3ヶ月・6ヶ月・1年はトータルの騰落率、3年・5年は年率換算(CAGR)です。
・円建てのSOX指数ファンドはまだ実績が少ない
楽天・プラス・SOXやニッセイSOXは2023年設定のため長期の比較データがなく、実績が蓄積されるまではもうしばらくかかります。
・直近3ヶ月の成績はFANG+やSOXが好調
トランプ関税下落からの上昇で、FANG+やSOX指数連動ファンドがいずれも+24〜25%台と急上昇しています。ただし直前の下落が大きかった反動とも言えます。
・6ヶ月〜1年ではSOX指数ファンドがマイナス圏に
SOX指数連動ファンドは6ヶ月・1年のパフォーマンスでマイナス圏に沈んでおり、2024年後半の不調が影響しています。オルカンやS&P500はプラス推移で、特に円高の影響が少ないオルカンがS&P500よりも好成績を示しています。
・3年、5年ではFANG+が圧倒的な成績
3年、5年の年率成績ではFANG+が他を大きく引き離すパフォーマンスを記録しています。S&P500やオルカンも堅実に成長していますが、FANG+のリターンには及びません。
SOX指数は半導体セクターの急成長を取り込める反面、1年単位でマイナスになるリスクもあります。
分散性に優れたオルカンやS&P500は安定感があり、FANG+は集中投資ながら圧倒的なリターンを示しました。
まとめ|SOX指数はリターンもリスクも大きい
SOX指数は、米国の半導体セクターに特化したインデックスであり、テクノロジー分野の成長を取り込めるという大きな魅力があります。しかし、1年単位でもマイナスになることがあるように、業界全体の市況や景気変動の影響を強く受けやすいというリスクも伴います。
一方で、オルカンやS&P500のような分散性の高いインデックスは、値動きが比較的安定しており、長期投資の中核として利用されるケースが多くあります。
また、FANG+はわずか10社の集中投資にもかかわらず、直近の実績ではオルカン・S&P500、SOX指数を圧倒的に上回るパフォーマンスを記録しています。
こうした中で、SOX指数は「投資先の一部」として検討に値する選択肢といえるでしょう。S&P500やオルカンのような安定型インデックスと組み合わせることで、リスクとリターンのバランスをとりつつ、半導体分野の成長も取り込める運用が期待できます。
【重要事項】 当記事は、各投資信託に関する情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品の勧誘を目的としたものではありません。投資には元本割れのリスクや、市場の変動、為替レートの変動等により損失が生じる可能性があります。また、過去の運用成績は将来の運用成績を保証するものではありません。最終的な投資判断はご自身の責任において、十分な情報に基づいて行ってください。