インデックス投資の失敗例|初心者がやりがちな落とし穴と対策

資産運用・投資
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新NISAのスタートをきっかけに、インデックス投資に挑戦する初心者が増えています。

一方で、制度や商品をよく理解しないまま始めてしまい、高リスクな商品や高コストな投資信託を選んでしまった結果、想定外の値下がりや損失で投資を中断してしまうケースも少なくありません。

インデックス投資は「長期・分散・低コスト」が基本ですが、最初の判断ミスや心構えの不足が、将来の資産形成に大きな差を生むこともあります。

この記事では、FPおよび証券外務員一種の資格を持つ筆者が、投資信託の初心者が陥りやすい失敗を【買い方のミス】【インデックス投資の心構え】【投資を取り巻く環境要因】といったパターン別に解説します。

これから投資を始める方は、失敗してから後悔しないように、ぜひ事前のチェックリストとしてご活用ください。

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投資信託の注文時の失敗

投資信託を購入するとき、初心者がつまずきやすいポイントが「口座選択」と「商品選び」です。ここでのミスは、後々の税金の手続きや運用成果に大きく影響することもあります。特に注意したいのが以下の2つです。

口座選択のミス

NISA口座は運用益が非課税になるため、年間の投資上限の範囲内で最大限活用します。「NISA」か「特定」の選択がありますの「NISA」を選びます。

積み立て設定をするときは、積立投資枠を選べるときは積立投資枠、選べないときは成長投資枠を選択します。(積立投資枠を優先します)

またNISA口座の取り扱い商品や年間投資上限には制限があるため、上限を超えた場合やNISA制度の対象外商品は特定口座で購入する必要があります。

この特定口座の中でさらに「源泉徴収ありかなしか」を聞かれますので、初心者は「源泉徴収あり」を選びましょう。

源泉徴収ありということは、「税金の申告を自分でしなくても良い」ことになります。(ありを選んだとしても、自分で申告することもできます)

似た名前の投資信託を間違えて購入

注文時のもう1つの失敗パターンは似た名前の投資信託を誤って購入してしまうことです。

大金を損するわけではありませんが、後々買いなおす必要が出てきてしまいます。

1番多いパターンとして、初心者に人気のeMAXIS Slimシリーズと混同してeMAXISシリーズを購入してしまうことです。

・eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)
・eMAXIS S&P500インデックス

・eMAXIS Slim 国内株式(TOPIX)
・eMAXIS TOPIXインデックス

例えばこのように、それぞれ「米国のS&P500」と「日本のTOPIX」に連動する投資信託ですが、「Slim」かどうかで手数料など変わってきます。

✅三菱UFJアセットマネジメント株式会社:eMAXISシリーズとは

初心者は目当ての投資信託であるかどうかを、一字一句しっかりと確認しましょう。

人気ランキングの投資信託を選んで失敗

人気ランキングは多くの初心者が参考にする指標ですが、そのラインナップは初心者向けの商品とは限らず、手数料が高く長期運用に不向きな商品を選んでしまうリスクがあります。

・手数料が高めの商品
販売手数料が高い商品は初心者にはおすすめしにくいですが、証券会社は販促に力を入れているため、そうした商品がランキングの上位に入りやすい傾向があります。

・毎月分配型
毎月分配型の投資信託は「資産形成段階」でおすすめではありません。資産の取り崩しが始まる60代以降であれば選択肢となりますが、20代〜50代の資産形成期には、分配金のない投資信託の方が効率的に資産を増やせます。

・短期的にパフォーマンスが良かった投信が急浮上
一時期の流行で人気が急上昇した投資信託がランキングに入ることがあります。短期で売買する投資家が資金を投じるためです。こうした商品は長期投資向けではないので注意が必要です。

ランキングは基本的に「売れている=買付金額が多い」順に表示されていて、初心者に向けたランキングでは無い点に注意が必要です。

インデックス投資の心構え

インデックス投資は「ほったらかしでOK」「長期的に右肩上がり」という安心感がある一方で、心構えが不十分なまま始めると、メンタルに大きな負担がかかることもあります。

特に初心者は、以下のようなパターンに注意が必要です。

リスク許容度を超えた金額で投資

「積み立てより一括投資が有利」「貯金で置いてよくよりは」と、ネットで小耳に挟んだ情報でいきなり大きな金額を投入してしまう初心者も少なくありません。

ところが、実際に資産が目減りすると精神的に想像以上のダメージを受けてしまいます。この減っても耐えられる金額は、性格や投資歴によって個人差が大きいです。

20%の下落を例にすると、100万円の投資額なら20万円ですが、1,000万円投資していれば200万円もの資産が消え去ることになります。

この下落は多くの場合で一時的ですが、冷静な判断ができるかどうかは、実際に値下がりを経験してみなければわからない面もあります。

暴落を想定していない

多くの初心者が見落としがちなのがインデックス投資でも暴落はあるという事実です。

リーマン・ショックやコロナショックなど、過去の大暴落では短期間で30~50%も資産が下落したことがありました。こうした下落が実際にあり、そしてこれからも起こることを想定する必要があります。

✅楽天証券:積立シミュレーション

多くの証券会社のシミュレーションは、このように“綺麗な右肩上がり”で作られています。長い目で見た平均はおそらくこの通りですが、現実はもっと波があります。

インデックス投資において「暴落は来ないだろう」「暴落するからその前に売る」このような考え方は根本的に誤っています

暴落も、その逆の大幅成長も全て受け入れて保有し続ける覚悟を決めてから、インデックス投資を始めましょう。

投資を取り巻く環境要因による失敗

ここまでの注意点を理解していざ長期投資を始めようというときに、最後に気を付けないといけないのは投資以外の要素です。

必要な現金まで投資に回し、やむを得ず売却

余っているお金で投資をしようと考えていても、事故や退職、あるいは結婚・出産など予想外の出費が発生するケースがあります。

このときに十分な現金を残していないと、含み損の状態でも売却を余儀なくされてしまうリスクがあります。

これはインデックス投資における典型的な“やってはいけない売却”パターンです。長期保有を前提としている商品を、相場の悪いタイミングで売らざるを得なくなり、本来得られるはずだったリターンを自分で手放してしまう結果になります。

こうした事態を防ぐには、投資とは別に「生活費の3〜6ヶ月分程度」の現金を手元に残しておくことが大切です。まずは「投資できるお金」を明確にしましょう。

家族の理解

もう1つの外的要因は、投資を始めたことを家族に話していない、あるいは話しても理解が得られていないというケースです。

特に夫婦間で金銭感覚や投資への考え方が異なると、多少の含み損でも否定的な意見を言われたり、暴落時にパートナーから厳しい批判を受けるかもしれません。

インデックス投資は長期目線が大前提ですが、日々の値動きや含み損が出ているときに、家族から否定的な言葉をかけられると、投資を続ける自信をなくしてしまうこともあります。

こうしたすれ違いを防ぐためにも、投資の目的をあらかじめ共有して、無理のない金額で投資を続けることが大切です。

まとめ|失敗を防いで、後悔しない投資信託デビューを

インデックス投資は、知識や経験が少ない初心者でも始めやすい資産形成の方法ですが、ちょっとした判断ミスや思い込みが、後悔につながることもあります。

失敗を避けるには、口座や商品選びを丁寧に行い、人気ランキングの情報を鵜呑みにせず、自分のリスク許容度や家計状況をしっかり把握することが大切です。

そして最後に大切なのが「投資を始めないまま時間だけが過ぎてしまうリスク」です。

相場の下落を待ったり、完璧なタイミングを探そうとしても、未来を正確に読むことは誰にもできません。むしろ、早く始めることで「時間」を味方につけることができます。

少額でも自分のペースで一歩を踏み出すこと。それが後悔しないインデックス投資の第一歩です!

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