2025年も4ヶ月が経ちました。
好調だった2024年と比べると、2025年序盤の株式市場は残念ながら、順調なスタートとはいきませんでした。
トランプ大統領の関税政策が注目を集め、各国との貿易摩擦への懸念が高まり、他にも急速な円高進行など今年の相場は不安定な状況が続いていますね。
そんな中、新NISAで人気の「S&P500」「オルカン(全世界株式)」「FANG+」などの投資信託はどのような成績を残しているのでしょうか?
本記事では、証券外務員一種の資格を持つ筆者が、人気の高い投資信託の2025年1月〜4月運用実績を比較しています。
投資初心者の方でもわかりやすく解説しますので、今後のインデックス投資の参考としてぜひご活用ください。
基準価額と下落率(2024年末〜2025年4月末)
2024年12月末から2025年4月末までの基準価額で、代表的な株式投資信託の成績を比較してみましょう。
対象には、人気の投資信託である「S&P500」「オルカン(全世界株式)」「FANG+」に加えて、米国ハイテク株の代表である「NASDAQ100」や半導体指数の「SOX(半導体株指数)」、日本株から「日経平均株価」および「TOPIX(東証株価指数)」を含めています。
各投資信託の年末時点の価格と、4月末時点の価格を比較し、騰落率(下落率)で成績順に並べた表です。

意外にも日本株が健闘しています。
一方、2024年に好調だった「FANG+」や「SOX(半導体指数)」は、予想以上の苦戦を強いられました。
※後述しますが、この下落率には為替変動が含まれています
日本市場
「eMAXIS Slim国内株式(TOPIX)」は年初からマイナス3.1%、「eMAXIS Slim国内株式(日経平均)」はマイナス8.9%と、他の投資信託に比べて比較的少ない下落で済んでいます。
円高や関税は日本市場にとってもマイナス要素ですが、それでも堅調に推移したと言えるでしょう。
日経平均は輸出企業の比重が大きいため、円高の進行や、米国の関税政策といった影響でTOPIXに後れを取ったと考えられます。
TOPIXにはいわゆる内需株が多く、今回の比較対象の中ではもっとも下落率が小さい結果となりました。
オールカントリーと除く日本
eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)、通称オルカンは11.4%の下落です。「除く日本」の方は11.8%の下落と、それよりもやや悪い成績でした。
この差は比較的好調だった日本市場の有無の差と、その分で構成比の高い米国株の下落が響いています。
近年S&P500の方が高いパフォーマンスを出すことが多かった中で、今回はオルカンが上回る結果となりました。
S&P500とNASDAQ100
米国を代表する企業で構成されるeMAXIS Slim米国株式(S&P500)は、4カ月で15.8%の下落となりました。トランプ関税や金利上昇の影響を受け、米国市場全体が苦戦を強いられています。
これまで「実績のS&P500」として高いパフォーマンスを見せてきましたが、今回は「理論と安定のオルカン」に軍配が上がる結果となりました。この先どちらが優位となるか、非常に注目されます。
ニッセイ NASDAQ100は年初からマイナス17.8%と、ハイテク中心の指数らしい大きな下落幅になっています。去年は好成績でしたが、今年は一転して守備力の低さが目立っています。
FANG+とS&P500トップ10
iFreeNEXT FANG+インデックスは17.3%の下落、さらにTracers S&P500トップ10インデックス(米国株式)は21.1%という大幅な下落を記録しました。
マイクロソフトやアップルなどのメガテックに集中投資する設計上、相場が好調なときに強力なリターンを得ることができる一方で、反落局面でのダメージも大きいというリスクをあらためて実感しますね。
半導体指数
半導体株に連動するSOXインデックスは、25.8%という比較対象の中で最大の下落となりました。
2024年にはエヌビディア、ブロードコム、TSMCといった半導体株の成長期待で大きく上昇しましたが、2025年序盤はその反動が一気に表れた形です。
半導体業界は元々値動きが激しく、景気後退懸念や企業の設備投資減速、米中対立の影響を大きく受けます。
他の投資信託と比べてハイリスク・ハイリターンである点は忘れないようにしましょう。
ドル円レートの円高影響
2025年1月~4月の期間は、為替相場にも大きな動きがありました。
2024年末には1ドル=157.18円だったドル円レートは、4月末には143.7円まで円高が進行し、およそ8.6%の円高です。
ドル円レートの変動は、特に米国株や外貨建て資産を多く含む投資信託の基準価額に影響を与える要因となり、円換算された基準価額は円高であれば目減りします。
比較対象の9つの投資信託のうち、日本株とオルカンを除いた5本は、下落の約8.6%が為替影響です。
※オルカンはドル・円・ユーロなど複数通貨で分散投資されているため、為替変動による影響は他の米国株型インデックスに比べてやや軽微で、5〜7%程度と推定されます。
逆に言えば為替影響がなかったとすると、外貨建てインデックス自体の下落幅は、もっと小さかったことになります。
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まとめ:インデックス投資は長期的な視点で
インデックス投資家にとって、ここまで2025年序盤の相場環境はやや厳しい結果でした。
為替は円高方向に動き、外貨建て資産にとってさらに逆風です。こうした複数の要因が重なり、多くの投資信託にとっては「足踏み」「下落」の期間だったと言えるでしょう。
好調だった昨年とのギャップもあり、「良いときもあれば、悪いときもある」という相場の現実を再確認する4ヶ月でした。
このような時期には短期の値動きに一喜一憂せず、「長期・分散・積立」の基本を忘れずに、インデックス投資を淡々と続けていきましょう。
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【重要事項】 当記事は、各投資信託に関する情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品の勧誘を目的としたものではありません。投資には元本割れのリスクや、市場の変動、為替レートの変動等により損失が生じる可能性があります。また、過去の運用成績は将来の運用成績を保証するものではありません。最終的な投資判断はご自身の責任において、十分な情報に基づいて行ってください。