- 日本版SCHD(楽天SCHDとSBI・SCHD)は、いずれも本家SCHDを投資対象としており、長期的な分配金の方向性は連動する
- そのため日本版の分配金は、いくらかになるか事前に予想できる
- ただし、分配金の金額や支払タイミングは本家と完全には一致しない
- 短期の分配金額に一喜一憂せず、年単位での推移を見ることが重要
高配当ETFとして人気の『SCHD』(Schwab US Dividend Equity ETF)。
日本でも、この本家SCHDに連動する「楽天SCHD」や「SBI・SCHD」といった投資信託が登場し注目を集めています。
本家SCHDの分配金推移や増配実績が、日本版SCHDにもそのまま反映されるのか、仕組みが気になる人も多いでしょう。
結論から言うと、楽天SCHDとSBI・SCHDはいずれも本家SCHDを投資対象としており、長期的な方向性は連動します。そのため本家SCHDの分配金が公表されたタイミングで、いくらになるかはある程度予想できます。
しかし完全に一致するわけではなく、分配金のタイミングや金額にはズレが生じる点に注意が必要です。
この記事では、日本版SCHDとも言える「楽天SCHD」と「SBI・SCHD」が本家SCHDとどのように連動するのかについて、分配金の反映タイミングやズレが生じる理由を中心に解説します。
本家SCHDの分配金推移や、日本版SCHDの課税や手取り額については以下の記事で詳しくまとめています。
✅SCHDの分配金推移と増配率|楽天・SBIへの連動性と税金の注意点
本家SCHDと「楽天SCHD」「SBI・SCHD」の関係
本家SCHDは、米国に上場する高配当ETF『Schwab US Dividend Equity ETF』(ティッカー:SCHD)です。
分配金は年4回(3月・6月・9月・12月)、米ドルで支払われています。
日本からではこのETFを直接購入できないため、本家SCHDを投資対象とする連動型投資信託を購入することで、間接的に投資します。
その連動投資信託が以下の2本です。
①楽天SCHD
楽天・シュワブ・高配当株式・米国ファンド(四半期決算型)
②SBI・SCHD
正式名称:SBI・S・米国高配当株式ファンド(年4回決算型)
日々の値動きや分配金の増減、方向性は、基本的に本家SCHDに連動します。
なぜ楽天SCHD、SBI・SCHDの分配金は本家SCHDとズレるのか
楽天SCHDやSBI・SCHDは、本家SCHDを投資対象としており、分配金の増減や方向性は基本的に連動します。
ただし、分配金額や支払タイミングが本家SCHDと完全に一致するわけではありません。実際にはいくつかの要因によって「ズレ」が生じます。
ここでは日本版SCHDと本家SCHDの分配金に違いが出る理由を、次の3つのポイントに分けて解説します。
決算月と分配金のタイミングの違い
本家SCHDの分配金は、楽天SCHDやSBI・SCHDの分配金の原資となります。本家SCHDの分配金支払月は3月・6月・9月・12月の年4回です。
これに対して日本で販売されている連動型投資信託では、決算月の違いによって、分配金が反映されるタイミングにズレが生じます。
| 本家分配金 (ドル建) |
楽天SCHD 分配金 |
SBI・SCHD 分配金 |
備考 |
|---|---|---|---|
| 2024年12月 0.2645 | 2025年2月 85円 | ー | 楽天の初回分配金(本家から2ヶ月遅れ) |
| 2025年3月 0.2488 | 2025年5月 70円 | 2025年6月 62円 | SBIの初回分配(本家から3ヶ月遅れ) |
| 2025年6月 0.2602 | 2025年8月 80円 | ー | SBIは決算日変更で、次回分配金に含む |
| 2025年9月 0.2604 | 2025年11月 85円 | 2025年9月 85円 | SBIは本家分配金からのタイムラグが解消 |
| 2025年12月 0.2782 | 2026年2月 未定 | 2025年12月 90円 | 楽天は本家から2ヶ月遅れ、SBIは当月 |
楽天SCHDは、本家SCHDの分配金から約2ヶ月遅れで分配金が支払われます。
そのため、本家の3月分配金は5月、6月分は8月といった形で反映されます。
SBI・SCHDは当初、本家SCHDから約3ヶ月遅れで分配していましたが、決算日を月末に変更したことで、現在は本家と同じ月に分配金が支払われる仕組みとなりました。
このように、分配金の原資は同じでも、決算月の違いによって反映タイミングが異なる点が、
本家SCHDと日本版SCHDのズレとして現れます。
2025年12月29日にSBI・SCHDの12月度分配金が90円と発表されました。
本家SCHDの増配率を踏まえると、次回分配金は90円前後になると考えられていたため、本家SCHDの分配金動向と大きく乖離する結果ではありませんでした。
✅「SBI・S・米国高配当株式ファンド(年4回決算型)」第3回分配金90円のお知らせ
為替レートの影響で分配金額が変わる
本家SCHDの分配金はもちろん米ドル建てで、楽天SCHDやSBI・SCHDの分配金は、この米ドル建ての分配金を円に換算したうえで払い出されます。
そのため分配金額は為替レートの影響を受けます。
円安の局面では円換算後の分配金は増えやすく、逆に円高の局面では分配金が抑えられるイメージです。
本家SCHDで分配金が確定した後、日本版SCHDで実際に分配金が支払われるまでの期間中に為替レートが変動することで、日本版SCHDの円換算された分配金額に影響を与えることになります。
このため、本家SCHDが増配している年であっても、為替の動き次第では、日本版SCHDの分配金が想定より伸びないと感じるケースもあります。
ファンド内の調整で、分配金額は変わってくる
日本版SCHDは、本家SCHDの分配金額を、単に円換算しただけで機械的に分配するわけではありません。
分配金を支払う際には、ファンド内で以下のような調整が行われることがあります。
・構成銘柄の入れ替えに伴う損益
・次回以降の分配に備えた内部留保
楽天SCHDとSBI・SCHDはいずれも本家SCHDへの連動を目指していますが、「分配金をどの程度内部留保するか」、「為替や売買に伴う損益をどのタイミングで分配に反映させるか」といった判断は、それぞれの運用会社に委ねられています。
このような分配方針の違いは、楽天SCHDとSBI・SCHDの特徴や差が現れやすい部分でもあります。
そのため、短期的な分配金額だけで優劣を判断するのではなく、複数回の分配を通じた傾向を見ながら、今後の方向性を確認していくことが重要です。
まとめ|日本版SCHDの分配金は「連動するが完全一致ではない」
楽天SCHD、SBI・SCHDは、いずれも同じ高配当ETFを投資対象としており、分配金の増減や方向性は基本的に本家SCHDに連動します。
一方で、日本版SCHDの分配金は、本家SCHDの分配金をそのまま円換算して機械的に支払うものではなく、為替や売買損益、内部留保などを考慮したうえで調整されます。
そのため、分配金額や増配のタイミングは、本家SCHDと完全に一致しない場合があり、楽天SCHDとSBI・SCHDの間でも差が生じる可能性があります。
本家SCHDの分配金推移を理解したうえで日本版SCHDを見ることで、分配金の見通しや期待値を、より現実的に捉えられるようになるでしょう。
【重要事項】 当記事は、楽天SCHDの分配金に関する情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品の勧誘を目的としたものではありません。投資には元本割れのリスクや、市場の変動、為替レートの変動等により損失が生じる可能性があります。また、過去の分配金実績は将来の分配金を保証するものではありません。最終的な投資判断はご自身の責任において、十分な情報に基づいて行ってください。


