大学生の就職先選びでは、「初任給」や「福利厚生」だけではなく、押さえておきたいポイントがいくつかあります。
新卒で選ぶ会社は、人生の資産形成のスタート地点です。どの会社に就職するかで将来の貯金や投資、生活の安定に大きな差が出ます。
本記事では、FP(ファイナンシャルプランナー)目線で、大学生が就職先選びで注目すべき、「待遇」「職種」「企業規模」「勤務エリア」の4つのポイントをわかりやすく解説します。
・どんな仕事をしたいかイメージが湧かない
・どの会社が待遇が良いかわからない
・ブラック企業にあたりたくない
こんな不安や悩みを持つ大学生にとって、会社選びのヒントになる内容です。
就職先選びの前提として押さえたい3つの視点
大学生が就職先を選ぶとき、単に「初任給」や「福利厚生」だけを見るのは不十分です。前提として以下の3つの視点がとても重要です。
- 勤務エリアの柔軟性を確認する
まずは希望の地域に限定したいかどうかを考えましょう。今はどこでも良いとしても、将来的に会社都合の転勤があるかどうかは、生活や資産形成に影響します。 - やりたい職種であることが続ける鍵
「営業」「経理」「総務」「技術職」など、自分が実際にどんな仕事をしたいか、『職種』を見極めることは最重要です。その会社の『業種』よりも大切なことかもしれません。 - 待遇は目先だけでなく“見えない部分”が重要
初任給だけでなく、有給が取りやすいか、賞与や手当はしっかりしているか、昇給が期待できるかを出来る限り確認しましょう。給与の伸びは口コミや大手新卒求人サイトの情報を参考にするのも有効です。
「1」と「2」は自分の希望や方向性をしっかりと考えておきましょう。
「3」については、特に昇給率や賞与額は明確に記載されているとは限らず、求人票や企業情報から読み取ったり推察するしかない部分です。
新卒の年収が同じ300万円の企業がいくつかあったとして、10年後20年後の年収は、企業によって『400万円』~『1,000万円』程度の差が当たり前にあります。
新卒就活で注目すべき4つのポイント
ここからは、大学生が就職先を選ぶときに特に注目してほしい4つのポイントを解説します。
それは「待遇」「職種」「企業規模」「勤務エリア」です。将来の資産形成やライフプランに大きく影響するこれらのポイントを、ひとつずつ整理して見ていきましょう。
待遇 ― 初任給・休日・手当などの基本条件
就職先を選ぶうえで、最も分かりやすく比較しやすいのが「待遇」です。大学生がまず注目すべき項目としては以下のようなものがあります。
- 初任給:最終学歴にもよりますが、18万円~26万円くらいが一般的です。20万以下は少なめ、24万以上は高めと言えるでしょう。
- 休日数:年間休日数が106日以上であれば少なくとも週2日休みです。120日であれば祝日も休みで、さらに125日あれば夏休みや年末年始の休日もありそうです。120日~125日欲しいところです。逆に106日以下は避けた方が良いでしょう。
- 賞与(ボーナス):「年2回」といった記載のみで、金額の目安にはならないことも多いです。実績として『〇ヶ月分』と記載があると好印象です。基本給の4ヶ月分程度が一般的です。
- 各種手当:住宅手当、通勤手当、家族手当などは、長期的に生活を支える重要ポイントです。特に住宅手当か家賃補助があれば、好待遇といえます。
- 退職金制度:長く務める予定であれば退職金の有無も重要です。5年10年程度の勤務であれば気にするほどでもありませんが、20年超えの勤続となると何百万円もの差が付きます。
求人票や企業ホームページに記載されていることが多いため、比較・検討がしやすい項目です。まずはこれらの待遇をチェックしましょう。
職種 ― 長く働けるかどうかは仕事内容で決まる
就職活動では「どの業界に入るか」ばかり注目されがちですが、それ以上に大切なのが 職種選び です。
- 営業職:人と話すことが好きで、成果を数字で出すことにやりがいを感じられる人向きです。初任給から給与水準が高めで、さらに成果次第で伸びやすい傾向があります。
さっくり「営業対象が”個人”か”法人”か」と、「既存の顧客対応か、新規開拓か」に分類されます。 - 事務職:正確さやコツコツ取り組む姿勢が求められます。安定した働き方ができる一方で、昇進や給与面では伸びにくい場合もあります。
- 経理、総務など管理部門:企業の裏方を支える役割です。資格取得や経験を積むことで専門性を高められ、転職市場でも評価されやすい職種です。人気も高いので、新卒募集では選考が厳しかったり、初任給が今ひとつな可能性もあります。
- 技術職、エンジニア:専門知識が必要で、スキルを磨けばキャリアの選択肢が広がります。初任給が高く収入が伸びやすい傾向がありますが、そもそも理系であったり、基礎知識が前提となる場合が多いでしょう。
職種選びは、待遇のように「どれが良い悪い」という判断ではなく、自分の性格や考え方に合っているかどうかがポイントです。
やりたいことがまだ明確でない場合は、「人と関わる仕事」か、それとも「専門スキルで支える仕事」か といった大枠から考えると方向性が見えやすくなります。
企業規模 ― 会社の安定性や将来性を見極める
企業規模は、新卒での働き方や将来のキャリアに大きく影響します。誰でも知っている大企業以外であれば間違いありませんが、世の中の大半の企業は知名度が高くありません。
企業規模の判断には、以下のポイントを確認してみましょう。
- 上場・非上場:非上場でも大企業はありますが、それでも上場しているかどうかは1つの判断基準になります。東証であればプライム>スタンダード>グロースの順に企業規模は大きくなっています。上場企業は財務情報が公開されているため、経営状況や将来性も判断しやすくなっています。
- 資本金、従業員数、設立年:資本金が大きい、従業員数が多い会社は、一般的に規模が大きいといえます。設立年は長いようであれば、大企業ではないとしても安定性を計る基準になります。
- 新卒採用への投資:リクナビやマイナビなど、大手新卒求人サイトを使っているかどうかも一つの指標です。これらのツールは新卒を1人採用するのに100万円以上かかるそうです。採用にコストを掛けられる企業は、人材を大切にしている可能性が高いといえます。
必ずしも「企業規模が大きいほど良い」わけではありませんが、傾向として大企業の方が人気があり、実際に収入も上がりやすく安定します。
勤務エリア ― ライフプランに合わせて働けるか
就職先を選ぶ際、勤務地の柔軟性も資産形成や生活の安定に影響します。以下の点を確認しましょう。
- 転居を伴う転勤の可能性:入社後に転勤があるかどうかは、生活コストや人生計画に直結します。転勤が多い企業は、住宅手当や引っ越し補助などもチェックすると安心です。
収入が低くなる引き換えに転居を伴う転勤がない「地域限定社員」の枠組みを設ける企業も増えています。 - 地域限定の企業:地方銀行や地元企業など営業範囲が広くない企業であれば、必然的に勤務地が限定されます。基本的に大企業であるほど転勤範囲や可能性は増しますが、「地元の有名企業」であれば、転勤リスクの低さと企業規模を両立できます。
「都会で働きたい」「地元を離れたくない」など、勤務地が自身の価値観やライフプランに合っているかどうかとても重要です。
まとめ|新卒就活で企業を選ぶポイント
本記事では、大学生が新卒就活で注目すべき4つのポイントを解説しました。
大学生のうちは、どんな仕事をしたいかまだはっきりしていなかったり、企業選びの基準がわからないことも多いでしょう。
それでも「待遇」「職種」「企業規模」「勤務エリア」のポイントを押さえておくと、長く働ける会社や将来の生活の安定に有利な選択がしやすくなります。
新卒の会社選びは、将来の経済的基盤を左右する大きな一歩です。
目先の条件だけでなく、長く働ける環境や自分に合った職種・企業を意識して選ぶことが、着実で安定した資産形成につながります。