ボーナスの給与化でどうなる?メリット・デメリットを解説

制度解説
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最近、一部の企業で「ボーナスを廃止して給与に組み込む」、つまり「ボーナスの給与化」が話題になっています。

通常年2回のボーナスを1回あるいは0回にし、毎月の給与に上乗せされるこの仕組みには、どのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか?

  • 手取りが増える?減る?
  • 社会保険料や税金はどうなる?
  • 働く側・企業側、どちらが得なの?

この記事では、「ボーナス給与化」の仕組みや背景、実際に変わるお金のことを、ファイナンシャルプランナー目線でわかりやすく解説します。

今後、あなたの会社でも導入されるかもしれない制度。正しく理解して備えておきましょう。

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ボーナスの給与化とは?

「ボーナスの給与化」とは、年に2回支給される賞与(ボーナス)を減らしたり廃止したりして、その分を毎月の給与に上乗せする仕組みのことです。

たとえば、年2回で計120万円のボーナスを受け取っていた場合、そのうち1回分(60万円)をなくして、毎月の給与に5万円ずつ(60万円÷12ヶ月)上乗せするような形です。

企業によって、ボーナスを完全になくして全額を給与に組み込む、あるいは年1回に減らして残りを月給に回すなどのパターンがあります。

従業員から見たボーナスの給与化

ボーナスの一部または全部が月給に組み込まれると、働く側の受け取り方やライフプランにも影響があります。

ここでは、従業員目線でのメリット・デメリットを整理してみましょう。

ボーナス給与化のメリット

収入が毎月安定する
 毎月の収入が一定になり、生活設計や家計管理がしやすくなります。

年収減のリスクが低くなる
 ボーナスの有無や支給額は、業績に応じて企業側に決定権があります。一方で、減給には制限があるため、年収が減るリスクが少なくなります。

退職時のボーナスの影響が少なくなる
 入社直後にボーナスが少なかったり、退職時にボーナス支給日を気にすることがなくなります。

ボーナス給与化のデメリット

社会保険料や所得税が増える可能性がある
 4月~6月の給与で年間の社会保険料が決まるため、この期間の給与が上がることで年間の保険料が高くなる場合があります。

臨時収入としての楽しみがなくなる
 “ご褒美感”は失われ、消費や旅行、買い物に回す機会が減るかもしれません。

毎月の支出が増えやすくなる
 手取りが増えた分を日常的に使ってしまい、結果として貯金が減るリスクもあります。

社会保険料は月収に応じて上がりますが、高収入の人は保険料の上限に達している場合もあり、それ以上は増えないこともあります。
そのため、手取りが増えるか減るかは一概には言えず、人によって異なります。

一方で所得税は、年間の課税所得が同じであれば年間で見ると大きな差はありません

企業から見たボーナスの給与化

一方で、ボーナスを給与化する背景には、企業側の狙いや制度上のメリットも存在します。

  • 予算管理がしやすくなる
     賞与の金額を毎月の人件費に組み込むことで、コスト予測が立てやすくなります。
  • 入社・退社時の不公平感が減る
     ボーナスによる、「入社タイミングで損した」「退職直後で受け取れなかった」といった不満が起きにくくなります。
  • 求人で月給を高く見せられる
     月給にボーナス分が加算されることで、初任給や求人票の金額が見栄え良くなり、採用競争力が上がります。

ただし、前述の通り企業側に決定権があるボーナス支給額と違い、一度上げた給与は簡単には下げられないというリスクがあります。固定費としての重みが増す点は、慎重な判断が求められます。

ボーナス給与化の具体例

ここではボーナスの給与化に踏み切る企業の具体例を見ていきます。

報道によるとソニーグループでは、2025年度から冬のボーナスを廃止して、その分を給与化するというニュースが話題になりました。これにより大卒新入社員の月給が31万円に引き上がりました。

同様に大和ハウスの例では、ボーナスの給与化により新卒社員の初任給を、月額25万円から35万円にまで引き上げています。

トータルの年収は同じだとしても、初任給30万円越えのインパクトで、新卒市場で有利になったと考えられます。

まとめ|ボーナス給与化のメリット・デメリット

ボーナスの給与化は、収入の安定や家計管理のしやすさといったメリットがある一方で、社会保険料の負担が増える可能性や「まとまった収入がなくなる」デメリットもあります。

企業側にも採用競争力の強化や人件費管理のしやすさといったメリットがある反面、固定費の増加によるリスクは無視できません。

総合的に考えると、入退社のタイミングに影響されず、月々で安定して給与を受け取ることになるボーナスの給与化は、従業員にとってメリットの方が大きいと言えるでしょう。

今後、多くの企業で導入が進む可能性があるため、働く側としては給与構成の変化を正しく理解し、家計やライフプランの見直しを検討することが大切です。

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