eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)に代表されるS&P500指数に連動するインデックスファンドは、投資信託の中でも大人気ですね。
そんなS&P500を構成する500社のうち、トップ10社にだけ投資をする投資信託が登場しました。
それがTracers S&P500トップ10インデックス(米国株式)です。(以降はS&P10と省略します)
上昇著しいS&P500の中のさらにトップ10に集中投資する投資信託ということで、気になっている方も多いのではないでしょうか。
今回は「S&P10」について解説しながら、「FANG+」との違いもまとめてみます。
S&P10とは
S&P10は、S&P500の構成銘柄のうち時価総額(発行済み株式の総額)の大きさで上位10社に絞って構成されます。
(出典:日興アセットマネジメント株式会社)
このトップ10社だけでS&P500全体の時価総額の33%以上を占めていて、構成比率は10社均等ではなく、時価総額の比率が構成比率になっています。
1番時価総額の大きいマイクロソフトの構成比率が21.9%ですね。
表に12銘柄あるのは、グーグル社(アルファベット)とジョンソン・エンド・ジョンソン社が2銘柄に分かれているため、10社で12銘柄ということになります。
これらの銘柄の構成比率の調整を年4回、トップ10社に変動があれば入れ替えは年1回実施してくれます。
S&P10の実績
ではそのS&P10の今までの実績はどうかというと、大人気のS&P500の実績をさらに上回っています。
(出典:日興アセットマネジメント株式会社)
2014年1月を100として、10年間の比較グラフです。
2024年1月ではS&P500は480程度、S&P10は760程度と1.5倍以上の差がついています。
S&P500の上昇を大きく牽引しているのは上位数社であるということが一目でわかります。
こんなグラフを見たらS&P10に投資したくもなりますね。
S&P10の注意点
S&P10の魅力は上記のグラフの通り、S&P500の1.5倍にもなるパフォーマンスです。
一方で注意点もあり、それは分散が効いていないということです。
10社に集中投資するので当然といえば当然ですが、業種としても、情報技術やコミュニケーションサービスに偏っています。
分散が効いていないことでどうなるかというと、先ほどの比較グラフでも2023年1月前後に表れています。
この時期S&P10の下落幅が大きく、最大で30%程度(グラフで500→350)下落しているように見えますね。
上がるときの勢いも大きいとはいえ、この値動きの激しさは注意しておく必要があります。
手数料は年間およそ0.1%で、S&P500の0.09%と比べると1割ほど割高ですが、気にするほどの差ではないでしょう。
FANG+との比較
最後にFANG+との比較についてです。S&P10と構成銘柄がほぼ同じため、FANG+との差が気になる人も多いでしょうか。
結論としてはS&P10はFANG+よりも優れていると考えていますので、FANG+についてよく知らない場合はスルーしてください。
比較のポイントは3点です。
- 銘柄の入れ替え
- 構成比率
- 手数料
まず銘柄の入れ替えについて、FANG+は4銘柄は固定です。他の銘柄は不定期に入れ替えが実施されていますが、時期も基準もS&P10ほど明確ではありません。
銘柄の入れ替えの安定や柔軟さではS&P10が有利でしょうか。
次に構成比率ですが、FANG+は10社均等です。株価が変動した分はS&P10と同じく年4回リバランスします。
S&P10は時価総額の比率、FANG+は均等と構成比率に差がありますが、この点は好みの問題でしょうか。
最後に手数料の差です。S&P10の約0.1%に対してFANG+は約0.7%とおよそ7倍の差があります。
100万円保有していると、年間で1,000円か7,000円かの差になります。
この差はかなり決定的で、FANG+が値下げしない限りはS&P10が優位と考える人が多いのではないでしょうか。
まとめ:S&P10はFANG+よりも有力な選択肢
今回はTracers S&P500トップ10インデックス(米国株式)について解説しました。
S&P10に限らず「中身がわからないもの」に投資しないように、本記事程度の情報は把握した上で検討することを推奨します。
個人的には投資先として有力な選択肢という印象ですが、それでも投資のメインは、S&P500が総合的に優れていると考えます。
S&P500やオルカンを軸にしながら、1割2割といった比率でS&P10を購入してみると面白いかもしれません!