株式市場の暴落は、投資家なら誰も不安や焦りに襲われる瞬間です。
インデックス投資は「買って放置」と言われますが、実際に資産が急落すると、放置するには強いメンタルが必要です。
特に初心者の方にとっては、「このまま続けて大丈夫?」「今すぐ売るべき?」といった迷いが頭をよぎるのは当然です。
しかし、長期投資を成功させるカギは、こうした局面でいかに動じずに投資を続けられるかにかかっています。
本記事では、これまで数々の下落相場を見てきた経験と、インデックス投資の基本に立ち返りながら、
暴落に対する心構えを初心者にもわかりやすく解説します。
「下がったらどうするか」ではなく、「下がることをどう捉えるか」。20年、30年先を見据えた資産形成のために、いまこそ備えておきましょう。
暴落は必ず起こる|それでもインデックス投資を続ける理由
「暴落が来るから売るべきだ」「暴落なんて起こらない」
そんな議論をSNSや掲示板で見かけることがありますが、インデックス投資の観点から見ると、どちらも的外れと言えます。市場の歴史が示すように、暴落は必ず訪れ必ず回復します。問題なのは、暴落にどう向き合いどのように対応するかです。
※本記事はインデックス投資を前提としています。個別株の場合は売却判断が異なるため、別の戦略が必要です
なぜ暴落は避けられないのか?市場の自然なサイクル
株式市場は経済の実態や投資家の心理、世界情勢などさまざまな要因で日々変動しています。
大きく成長する期間がある一方で、過熱感や経済の後退、戦争や感染症など予期せぬ出来事によって市場が急落することもあります。
過去100年以上のデータを見ると、リーマンショックやITバブル崩壊、新型コロナショックなど、暴落は何度も繰り返されてきました。
これが市場の「正常な」動きであり、暴落がなければ長期的な上昇も期待できません。
暴落をどう捉えるかが資産形成の鍵
暴落は「終わり」ではなく「資産形成のプロセスの一部」と捉えることが重要です。特にインデックス投資は市場全体の成長を長期で取り込む戦略であり、短期の下落に過剰反応する必要はありません。
むしろ暴落は割安で買い増すチャンスであり、忍耐強く持ち続けることで、将来的なリターンを大きく伸ばせます。
暴落は避けて通れるものではなく「どう向き合い、付き合っていくか」が長期投資成功のカギとなります。
SNSやメディアが強調する暴落の不安
株価が大きく下がると、SNSやニュースメディアでは不安を煽るような情報が目立つようになります。
これはネガティブなニュースの方が人の目を引きやすく、クリック数や再生回数が増えるためです。情報発信側に悪意がなくても、収益につながるため、人々の不安を増大させる情報が増えてしまうのです。
大幅下落局面では、例えば「バフェットが大量に株を売却した」「景気後退のシグナルが発生した」など、一見するともっともらしいニュースが広がります。
また、多くの人が不安になるため、ネガティブな情報は連鎖的に拡散されやすく、心理的にも「どこまで下がるのか」「今回の暴落は今までと違うのではないか」という恐怖感が強まります。
こうした状況を理解しておくことが、暴落時に冷静でいられるポイントです。平静が保てないようであれば、投資から距離を置いて情報が入らないようにするのも良いでしょう。
暴落時に働く「売りたいバイアス」|冷静さを失う投資家心理
インデックス投資初心者には、暴落局面で「一度現金に戻して逃げたい」といった心理が強く働きます。まだ売るつもりがなくても、無意識のうちに「売る理由」を探してしまうかもしれません。
そんなときに目に飛び込んでくるのが、SNSやメディアにあふれるネガティブなニュースや意見です。
本来であれば冷静に読み流せるはずの情報も、売りたい気持ちが先行していると、まるで「売る根拠が見つかった」ように感じてしまうのです。
しかし、ここで重要なのは、そのような「売る理由」が感情に引っ張られたものであり、長期的な資産形成には逆効果である可能性が高いということです。
不思議なことに、こうした「限界を感じて売ったタイミング」が結果的に底値であることも少なくありません。
仮に、運よく「底の前」に売ることができたとしても、次の問題が立ちはだかります。「売った価格より安い水準で買い戻すことができるか」というと難しいことです。
一度損切り判断をしたような人が安心して買い戻せる頃には、株価は大きく回復していることでしょう。
含み損は”一時的”
暴落局面では、多くの投資家が含み損に直面します。そして初心者ほど「損している」「失敗した」と感じてしまいがちです。しかし、インデックス投資において含み損は「未確定の一時的な評価」にすぎません。
人気の書籍『Just Keep Buying(ジャストキープバイイング)』ではこのように述べられています。
短期的な含み損や値動きに耐えることは「市場のメリットを享受する手数料」である
つまり含み損を我慢すること自体が、長期的なリターンを得るために必要なコストなのです。
むしろ、暴落時に資産が一時的にマイナスになるのはインデックス投資の前提とも言えます。歴史的にも、暴落のない20年や30年という投資期間は存在しません。それでも世界経済は成長を続け、インデックスファンドも右肩上がりに価値を伸ばしてきました。
大切なのは「暴落時の保有・積み立て継続も含めてインデックス投資」だという理解です。
初心者が長期にわたって再現しやすい投資法とは、上昇も下落もすべて受け入れて、インデックスファンドを淡々と買い続けること。暴落の一時的な評価損に惑わされず、自分の投資方針を信じて続けることこそが資産形成への最短ルートです。
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暴落に向き合うためのインデックス投資の心構え
最後に、インデックス投資初心者に特に知ってほしい「8つの心構え」を紹介します。これらをしっかり理解できれば、インデックス投資に必要なマインドは十分に身についたと言えるでしょう。
ここまで紹介してきたような、暴落に動じず、長期的な資産形成を成功させるためのポイントをまとめます。
①インデックス投資は個別株とは違う
損切りの判断は不要です。インデックス投資は、タイミングを計るのではなく「持ち続ける」ことが前提の投資です。
②シミュレーションは右肩上がりでも、現実はそうとは限らない
金融機関が公表するシミュレーションは綺麗な右肩上がりのグラフばかりですが、実際の相場は下落・上昇を繰り返します。
③暴落も含めてインデックス投資
暴落は例外ではなく、長期投資にあらかじめ織り込まれた想定内の現象です。不安になるのは当然ですが過剰に恐れることはありません。
④一時的な含み損を気にしない
評価損は「未確定の数字」でしかありません。売らなければ損にはならず、むしろ資産形成期では「購入価格」でしかないため安い方が有利です。不安になるようなら損益は見ないようにしましょう。
⑤とにかく売らずに持ち続ける
「持ち続けること」だけがインデックス投資のルールです。複雑な判断がいらないからこそ、誰にでも再現可能な素晴らしい投資法なのです。
⑥ニュースやSNSは冷静に受け取る
暴落時にはネガティブなニュースが目立ちますが、それは注目を集めるための、情報発信側の意図があります。不安を煽るニュース・投稿・動画に惑わされず「ふーん」ぐらいに受け止めましょう。
⑦自分の判断で売り買いを始めたら、それは“ど素人のアクティブファンド”
自分のタイミングで売買しはじめたら、それはインデックス投資ではなく、自作のアクティブファンドと同じです。
現実にはプロのアクティブファンドですら、長期でインデックスに勝てるファンドは10%程度です。あなたの判断がプロのファンドマネージャーより優れていると思うなら、売るのもありかもしれませんね。
まとめ|インデックス投資は「積み立て設定&放置」が鉄則
株式市場の暴落による資産の大幅な減少は誰にでも平等に訪れます。あなたより経験豊富な投資家や影響力のあるインフルエンサーも、インデックス投資においては、暴落によって同じように資産を減らしているのです。
それでも多くの人がインデックス投資を続けているのは、暴落が資産形成のプロセスの一部であり、長期的に見れば必ず回復し、成長することを知っているからです。
本記事で紹介した心構えを理解すれば、暴落に動じず、冷静に投資を続ける力が身につきます。それがインデックス投資の最大の強みであり、成功への近道です。
今は相場が好調でも必ずまた下落の局面はやってきます。そのとき慌てずに済むように、いまからしっかり心の準備をしておきましょう。