日本では収入があれば、基本的に税金を取られます。所得税が個人の収入(所得)にかかる税金です。
所得は収入の内容に応じて10種類に分類されていて、それぞれ計算方法が異なります。
収入が会社からの給与だけであれば深く考える必要はありませんが、副業や投資によって給与以外の収入が発生すると、この所得税に関する知識が必要になってきます。
今回は所得税の基礎知識である10種類の所得について解説します。
10種類の所得
個人の収入はその内容によって10種類の所得に区分されます。
税金が安い収入、高い収入など分類して適した計算をするためです。
所得の種類と代表例は以下の通りです。
- 利子所得:銀行預金の利子
- 配当所得:株式の配当金
- 給与所得:会社からの給与
- 退職所得:退職金
- 事業所得:事業で得た利益
- 不動産所得:土地や建物の賃料
- 譲渡所得:資産の売却で得た利益
- 一時所得:満期保険金
- 雑所得:年金や為替差益
- 山林所得:山林の譲渡で得た利益
最後の山林所得はほとんどの人は関わる機会がないでしょう。
サラリーマンは給与所得、自営業者は事業所得が収入のメインになります。
所得税の計算方法
所得税の計算方法は総合課税と分離課税の2パターンです。
基本は総合課税で、一部の所得は分離課税として独自に計算します。
総合課税
対象の所得:給与所得、事業所得、不動産所得、一時所得、雑所得、譲渡所得(不動産、株式以外)
総合課税は、これらの所得の合計に税率を掛けてから控除額を引いて所得税額が決まります。所得の合計が増えるにつれて税率が上がる超過累進課税方式です。
その税率は復興税を考慮せず、最低5%から最高45%で、所得が多ければ多いほど税率は高くなります。
【所得税額の速算表】
課税所得金額 | 税率 | 控除額 |
195万円以下 | 5% | 0円 |
195万円超 330万円以下 | 10% | 9万7,500円 |
330万円超 695万円以下 | 20% | 42万7,500円 |
695万円超 900万円以下 | 23% | 63万6,000円 |
900万円超1,800万円以下 | 33% | 153万6,000円 |
1,800万円超4,000万円以下 | 40% | 279万6,000円 |
4,000万円超 | 45% | 479万6,000円 |
控除額がややこしいですが課税をフラットにするためです。
例えば所得が196万円だと税率は10%になってしまいます。しかし9万7,500円を控除(195万円の5%を控除)することで、195万円までの税率は実質5%、残りの1万円の税率が10%という計算になります。
総合課税は所得が増えるほど、税率が上がっていくところがポイントです。
分離課税
対象の所得:利子所得、退職所得、山林所得、譲渡所得(不動産、株式)
分離課税は、先ほどの総合課税とは別にそれぞれ計算されます。税率は復興税を考慮せず、ほとんどが20%です。
例えば「銀行預金の利子」や「株式売買の利益」は、他の所得金額は関係なく20%の所得税が課せられます。
先ほどの速算表の通り、総合課税は所得695万円を超えると税率が20%を超えるので、それ以上の収入がある富裕層にとっては、分離課税であれば税率が低いわけです。
今話題の「金融所得課税強化」はこの分離課税の中の、投資の利益(売買益や配当金)の税率を上げてしまおうという話ですね。
まとめ:10種類の所得と計算方法
あらためて、収入の多い人にとっては分離課税の方が税金が安くすみます。
年収が5,000万円もあると、総合課税で所得税率は45%(さらに住民税が10%かかり合計は55%)になるわけですが、株で何億円の利益が出ようと分離課税の20%の税金がかかるだけだからです。
注意点としては、株と似たような収入で「仮想通貨」の売買益が挙げられます。
こちらは雑所得として総合課税で計算されるため、1億円の利益が出たとしたら所得税と住民税で55%の税金がかかってしまいます。株式投資と比べるとものすごく不利ですね。
将来大金を稼いだときに税金で損をすることがないように10種類の所得と、総合課税、分離課税について覚えておきましょう!