最近では様々な商品が値上がりしていて、家計にとって厳しい状況が続いています。
電気代についても値上がり傾向で、政府からの補助金が入る時期もありますが、それでも数年前よりも割高になっています。
今まで気にしていなかった電気料金が割高になったことで、気になり始めた人も多いのではないでしょうか。
今回は電気料金の基礎知識について、特に電気料金が変動する原因を解説します。
電気の単位
電気料金を計算する上で、電気の単位はキロワットアワー(kWh)とアンペア(A)を使います。
キロワットアワーは電気の使用量の単位で、水に例えると『リットル』のことですね。
一方アンペアは、瞬間的に使える電気の最大量の単位です。水に例えると『蛇口の太さ』にあたります。蛇口が太いと瞬間的に多量の水を出せますよね。
この契約したアンペア(もしくはキロボルトアンペア)の値を超えて同時に電気を使おうとすると、「ブレーカーが落ちる」ことになります。
アンペア数は大きい方が便利ですが、大きいと基本料金が高くなります。
1人暮らし:30A 2人暮らし:40A 4人暮らし:60A このぐらいが目安でしょう。
アンペアは、店舗やオール電化住宅など電気を多く使用する場合、10倍の単位であるキロボルトアンペア(kVA)で示されることもあります。
アンペア(もしくはキロボルトアンペア)によって基本料金が決まり、使用量が増えると使用量料金が上がります。
電気料金は主にこの2つで計算されます。
電気の検針日
次は1ヶ月の電気料金がいつからいつまでか?を解説します。
『11月の電気料金』と言われたら、11月1日~11月30日の料金を想像するかもしれませんがそうではなく、実はこの検針期間は電気メーターごとに違います。
電気メーターによって、毎月1回の検針日(使用量を計測する日)の日付は異なり、『11月の電気料金』とは11月の検針日で計測した料金を意味します。
以下に例をあげてみます。
①11月25日が検針日:検針期間は10月25日~11月24日
②11月5日が検針日:検針期間は10月5日~11月4日
①②はどちらも『11月の電気料金』ですが、②であれば実際はほぼ10月使用分ですね。
もう一点、検針日は毎月○日のように同日ではなく、曜日などで多少前後します。
それにより『1ヶ月の電気料金』の実日数は、29日間~34日間くらいで変動します。
さらに検針日で計測された料金は、翌月請求となる電力会社がほとんどです。
そのため上記の例であれば「11月検針分=12月請求分」の電気料金ということです。
電気料金の調整額
電気料金計算のもう1つの要素が、毎月変動する燃料費調整額です。
1kWhの使用量料金が仮に30円の電気料金プランを契約しているとします。
もしある月の燃料費調整額がプラス1円であれば、その月の1kWhの料金は31円になります。
逆に燃料費調整額がマイナス2円の月であれば28円です。
ではなぜ毎月料金が変動するややこしい制度があるかというと、日々上下する電気の原価を反映するためです。
電気の発電は、(火力発電のための)ガスや石炭の価格で原価が大きく変わってきます。こうした燃料は輸入に頼っているため、円安円高によっても変動します。
こうした電気の原価(=燃料費)を調整するための制度が燃料費調整額です。
この燃料費調整額の値上がりは、電気代が高くなったと感じる原因の1つです。
電気料金の季節変動
ここまで電気料金の仕組みを解説してきましたが、電気料金を決める1番の要素は電気使用量です。
そして電気代が高いと感じたときはまず使用量を確認してほしいのですが、実は季節によってかなり変動します。
具体的には冷暖房を特に使う夏と冬に使用量が多く、電気料金も高くなります。
一般的に春や秋の使用量に対して、夏や冬は2倍~3倍程度の使用量になるでしょう。
そして電気料金が高くなったと実感するまでには、前述の検針日や請求タイミングでタイムラグがあります。
今年で言えば11月後半から一気に寒くなってきたので、『12月検針分=1月請求分』から電気料金が高くなる家庭が多いでしょう。
11月から既に寒いにもかかわらず、料金を見て気が付くのは1月下旬ということですね。
季節変動の補足
補足すると、12月~3月まで同じように暖房器具を使っていたとしても、より気温が低い時期は電気使用量が多くなります。
空調の設定温度が同じでも、元が寒いと設定温度まで温めるのに使う電気が増えるからですね。
12月や3月と比べると、基本的に2月の電気使用量は多くなります。
電気料金はエリアによっても違う
同じ地域に住んでいれば影響しませんので、こちらはちょっとおまけの要素です。
電気料金の相場はお住まいのエリアによっても差があります。
一例ですが関西電力エリアは安く、東京電力エリアは高めです。これにも様々な原因がありますが、最大の理由は原子力発電所が稼働しているかどうかです。
原子力発電所は安全上のリスクが指摘されていますが、発電にかかるコストは火力発電と比べて非常に割安です。
そのため原子力発電所が動いていない東京電力エリアは、動かしている関西電力エリアと比べて割高になってしまいます。
まとめ:電気料金は月によって変動する
これまで説明してきたように検針日、燃料費調整額、季節といった要素で、そもそも電気料金は変動が大きいです。
1番の注意点は、そのせいで契約している電力会社や電気料金プランの影響が認識しにくい点です。
3月や4月に電力会社を切り替えたら、実際は高い会社に切り替えてしまったとしても「安くなった」と感じるでしょう。暖かくなってきて電気の使用量が激減する時期だからです。
こうした電気料金の変動要素を正しく理解することが、電気料金を削減する第一歩です。
最後に、今回触れられなかった要素はコチラの記事でも解説しています。電気料金に興味が出てきたらぜひご覧ください!