資産形成や家計改善を進めるうえで、まず必要になるのは「安定した収入の確保」です。
しかし、せっかく転職で収入を増やそうとしても、ブラック企業に捕まってしまっては本末転倒になりかねません。そこで重要になるのが求人票の見分け方です。
ブラック企業にありがちな求人票のポイントを押さえることで、給与や残業、休日、有給休暇、賞与の記載に潜むあいまいな表現や特徴を見抜けます。
実は私自身も、20代の頃にブラック企業といえる営業会社で働いた経験があります。
社会人経験が浅かったこともあり、「サービス残業が毎日4時間」「体調不良や葬式でしか有休が取れない」といった環境の異常さに、当時は気づけませんでした。
振り返ってみると、求人票にも曖昧な表現が多く、今の知識があれば応募しなかったと思います。だからこそ、これから転職を考える方には同じ失敗をしてほしくありません。
この記事では、具体的なフレーズやチェックすべき項目を紹介し、転職成功と収入アップ、そして安心して長く働ける職場選びのコツを解説します。転職活動を始める前にぜひ知っておきたい必須の知識です。
ブラック企業とは?
ブラック企業とは、労働基準法など労働者の権利やルールを軽視し、過重労働や低賃金、休日の不適切な扱いなどを強いる企業のことを指します。
従業員の使い捨てを前提に、短期間で成果を出させようとする傾向があり、労働者の健康や生活は二の次にされがちです。
具体的には、以下のような特徴があります。
- 長時間の勤務が常態化している
- 残業代がきちんと支払われていない
- 年間休日数が少ない
- 有給休暇を取得しづらい雰囲気がある
これらの特徴に加えて、見合った報酬が支払われない場合はブラック企業と判断できるでしょう。
ブラック企業の見分け方を知っておくことは、転職の失敗を防ぐうえで非常に有効です。
もちろん、実際に入社してみなければわからないこともありますが、求人票の細かな表現や条件の曖昧さを注意深くチェックすることで、ある程度は見抜くことが可能です。
ブラック企業の求人の特徴
ブラック企業の求人票には、以下のような特徴が現れやすいです。
1.給与(基本給や賞与)
まず給与については「月給20万円~50万円」、「年収400万円~800万円」など、下限と上限の差がやたら広い場合は注意が必要です。実際の支給額が下限近くに留まる可能性があります。
募集職種によって差があるとしても、その場合は「営業職:20万円~30万円」「幹部候補:40万円~50万円」と分けて募集すれば良いだけですので、差のありすぎる給与は不自然です。
(具体的な給与の記載が無い求人は論外です)
賞与(ボーナス)については、支給の有無や金額があいまいな求人に気を付けましょう。賞与有りだとしても、具体的な記載がない場合は避けた方が良いでしょう。
一般的には賞与は「基本給の何ヶ月分か」の支給実績を記載しているものです。
2.休日(年間休日数や有給休暇)
次に休日についてのポイントを見ていきましょう。
・「週休2日制」と「完全週休2日制」は意味が異なります。
「週休2日制」は、月に1回でも週2日の休みがあればOKという基準で、毎週2日休める保証はありません。
「完全週休2日制」であれば、毎週最低2日の休みがあります。「完全」と記載されているかをチェックしましょう。
・年間休日が120日未満の場合はやや少なめ、106日未満は警戒ライン
たとえば、カレンダー通りの「土日祝+お盆・年末年始」であれば、年間休日はおおよそ125日程度になります。
これに対して106日程度なら「週休2日=土日休み」だけの水準で、祝日やお盆休暇はないことになります。
もし年間休日106日を下回る場合は、かなり休日が少ないと判断できます。
・有給休暇の取得率も要確認
厚生労働省の「令和6年就労条件総合調査」によると、有給取得率の平均は約79.6%です。
90%以上であれば非常に高く、70~80%台が一般的なラインといえます。
求人に「有休取得率90%以上」などと明記されていれば、働きやすい職場である可能性が高いです。
3.残業(残業時間、残業代、みなし残業)
残業の項目については、まず「みなし残業」を導入している求人は、注意が必要です。
みなし残業とは、実際の残業時間にかかわらず、一定時間分の残業代を給与に含めて支払う制度です。一見すると合理的な仕組みに思えますが、実際にはその時間を超えても残業代が追加で支払われないケースがあり、長時間労働が常態化している職場では、過重労働につながるリスクがあります。
そもそも企業からすると「設定された時間以下でも固定の残業代を払い、なおかつ超過分も払う」という、みなし残業を導入するメリットはほぼありません。
必ず超過させ、超過分の残業代を支払わない企業であれば別ですが。
また、残業時間について具体的な記載がない求人も警戒が必要です。
たとえば「残業あり(業務状況による)」などと曖昧に書かれている場合、実態が見えづらく、入社後に長時間の残業が発覚することもあります。
「月10時間程度」「月20時間以内」などと記載されている求人のほうが、企業としての透明性や労働時間の管理意識があると判断できるでしょう。
記載がなければ面接で質問しよう
ここまで説明したようなポイントが、もし求人票に載っていない場合は面接時に遠慮なく質問しましょう。面接でこのような質問することは決して悪いことではありません。
むしろ賞与の支給実績、有休の取得状況、残業の有無や残業代の支給方法など、働き方に直結する重要な項目ですので、入社前に確認するべき大切な情報です。
まともな企業であれば、これらの質問は「記載が無いなら聞かれて当然」と考えるでしょう。
もちろん質問の仕方には注意が必要です。聞き方ひとつで印象が変わることもあるため、丁寧・謙虚・前向きな姿勢を心がけましょう。待遇に関する質問ばかりでは印象が悪い可能性がありますが、その企業や業務についての質問と織り交ぜれば問題ありません。
明確に答えられない、はぐらかす企業は要注意です。
ブラック企業の求人票にありがちなフレーズ
求人票には一見ポジティブに見える言葉でも、ブラック企業が都合よく使う“危険なフレーズ”もあります。ここでは注意すべき表現を紹介します。
「アットホームな職場!」
→ブラック企業の定番アピールポイントです。 仕事とプライベートの境界が曖昧で、BBQなど休日の強制参加イベントがありそうです。
「体力に自信のある方歓迎!」
→ 長時間働ける体力や根性を重視している可能性があります。
「スピード内定」「即入社」
→ 離職率が高く、常に人手不足の可能性があります。十分な選考をせず即採用する企業は注意が必要です。
「やりがいのある仕事です!」「やる気があれば未経験でもOK!」
→ 「やりがい搾取」の可能性あり、精神論に頼る職場かもしれません。
「若手が多数活躍中!」
→ ある程度の年齢になった社員は転職してしまうため、常に若手しかいません。定着率が低いことを意味しています。
「ノルマなし!」
→ 実際は「数字目標があるけど言葉をぼかしている」ことも。そもそも数字に厳しい環境でなければノルマなしと書く必要がないですね。
「入社2年目で年収1,000万円可能!」
→低い基本給と多大なサービス残業の果てに、莫大な成果報酬で成り立つ年収1,000万円も「可能性は」あるのかもしれません。
「未経験者歓迎+幹部候補」
→ 未経験でも幹部候補・・・聞こえは良いので、世間知らずでプライドの高い未経験者には刺さりそうです。
まとめ|ブラック企業を避けて収入アップ!
ブラック企業は、労働環境の悪さや不透明な待遇によって、心身に大きな負担を与えるリスクがあります。
転職して収入アップを目指したのに裏目に出てしまう事態を避けるためにも、求人票の内容をしっかり見極めることが大切です。
給与や残業、有休、賞与の項目には、ブラック企業にありがちなあいまいな表現や都合の良い言い回しが隠れていることがあります。
求人票だけですべてを判断することは難しいですが、気になる点は面接時に丁寧に確認しましょう。本当に働きやすい企業であれば、正直に説明してくれるはずです。
転職は収入アップ・キャリアアップの大きなチャンスです。だからこそ、職場選びで失敗しないように、求人票を読み解く目を養いましょう。