最近、買い物や外食で「物価が上がっている」と感じることが増えたのではないでしょうか。値上げのニュースを見かけることも多くなりました。
特にここ数年で食料品や光熱費など生活に直結する価格が大きく上昇し、家計への影響を不安に思う人も多いはずです。
この記事ではFP2級の資格を持つ筆者が、消費者物価指数がここ5年で大きく上がっている背景と、その理由をわかりやすく解説します。
物価の目安『消費者物価指数』とは
消費者物価指数とは、総務省統計局が毎月公表しており、日本における物価動向を把握するための重要な指標で『CPI』とも言われます。
消費者物価指数は、ある基準の年と比べて、私たちが普段購入する商品やサービスの価格がどの程度変わったかを示す指標です。
一般的な家庭の支出内容をもとに、食料品や光熱費、住居費など様々な項目の価格を集計して算出され、価格の変動が大きいものや、日常生活で多く使われるものほど指数に影響を与えます。
この指標を見ることで物価全体の動向がわかり、生活費がどのように変化しているかを理解することができます。
消費者物価指数の推移
現在の消費者物価指数は2020年を100として、毎月どのくらい物価が上がったり下がったりしているかを示しています。
■消費者物価指数

※2025年は3月時点の値です
2020年から2021年にかけては0.2%と緩やかな上昇にとどまっていましたが、2021年以降は毎年2%を超える高い水準が続いています。
物価は2020年比で約10%上昇していることがわかります。
項目別の消費者物価指数
全体では約10%の上昇となっていますが、その内訳を見ると、項目によって上昇幅には大きな差があります。

この表からわかるように「食料」と「光熱・水道」の上昇が特に大きく、家計への影響が強いことが見て取れます。
一方で「教育」、「住居」、「保険医療」はそこまで大きな上昇ではありませんね。
各項目にどんな費用が含まれているか、詳細はこの後補足します。
項目別の詳細と比重
消費者物価指数の項目は、それぞれこのような支出が代表例です。

また、この9項目に属さないその他の雑費として、たばこ、冠婚葬祭、保険料などがあります。
その他を含めた10項目の、消費者物価指数における比重は以下の通りです。
項目 | 比重(%) |
食料 | 約25% |
住居 | 約20% |
光熱・水道 | 約10% |
家具・家事用品 | 約5% |
被服・履物 | 約5% |
保健医療 | 約5% |
交通・通信 | 約10% |
教育 | 約3% |
教養娯楽 | 約7% |
その他 | 約10% |
この比重は家庭の平均的な消費支出の割合を反映しており、物価指数はこの比重を使って各項目の価格変動を合算しています。
家計支出の中で最も大きな割合を占めるのは食料品で、食料価格の変動が全体の物価指数に与える影響は25%です。
ここ数年で物価が上がりすぎている原因
消費者物価指数上昇の原因は一概には言えませんが、主要なものをあげていきます。
①原材料価格の高騰
原油や金属などの価格上昇が、ガソリン代や電気代に影響しています。
②エネルギーコストの増加
電気・ガス料金の値上げが生活全体のコストを押し上げています。
③新型コロナウイルスによる供給網の混乱
世界的な物流遅延や部品不足が商品の供給に影響し、価格上昇につながりました。
④人手不足によるコスト増
労働力不足で賃金上昇やサービス費用の増加が起きています。
これらの複数の要因が影響し、私たちの生活に直結する物価の上昇をもたらしています。
物価の値上がりはいつまで続く?|今後の見通しと家計への影響・対策
政府・日銀は物価安定の目標を年2%としています。これは適度な物価上昇が経済成長や賃上げを促すためです。
しかし近年の物価上昇はこれを大きく超え、特に人件費を反映するサービス価格は高止まりの傾向があります。
さらに物価の上昇に対して賃金の伸びが追いつかず、実質賃金が低下傾向にあるため家計の圧迫感が強くなっている側面もあります。
家計への値上げの負担はまだまだ続く可能性が高いため、値上がりの終わりを待つよりも、支出の見直しなど家計管理の強化が必要です。
まとめ|物価上昇の背景と今後の家計管理のポイント
今回は消費者物価指数と値上がりの背景について解説しました。
直近5年間で物価は約10%上昇し、特に食料品や光熱費、交通費など生活に直結する項目が大きく値上がりしています。
まだまだ続く可能性があるこの値上がりの終わりをただ待つのではなく、支出の見直しや無駄の削減、収支の見える化を進めて家計管理を強化することが重要です。
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